神道での挨拶

目次

神道の葬儀について

神道では、人は亡くなると神様になり、家族や子孫を見守る存在になると考えられています。そのため、仏教とは異なる用語や表現を用いて挨拶を行います。

神道の葬儀は「神葬祭(しんそうさい)」と呼ばれ、通夜祭、葬場祭、火葬祭などの儀式があります。

神道特有の用語と表現

避けるべき仏教用語

  • 使わない表現:「冥福」「供養」「成仏」「往生」「極楽」
  • 神道の表現:「御霊(みたま)」「安らかにお鎮まりください」「御霊安らかに」

神道でよく使う表現

  • 故人について:「御霊となられた」「神様のもとへ」「御霊安らかに」
  • 安息の表現:「安らかにお鎮まりください」「永遠にお守りください」
  • 感謝の表現:「御霊に感謝申し上げます」「お導きをいただき」

通夜祭での挨拶

通夜祭終了後の挨拶

基本例文1 「本日はお忙しい中、亡○(続柄)、○○(氏名)の通夜祭にお越しいただき、誠にありがとうございます。

○○は生前、皆様に大変お世話になりました。こうして多くの方々にお集まりいただき、○○の御霊も喜んでいることと思います。

○○の御霊が安らかにお鎮まりいただけますよう、皆様とともにお祈りしたいと思います。

明日の葬場祭は午前○時より執り行います。お時間が許されましたら、最後のお見送りをしていただければと思います。

本日は誠にありがとうございました。」

基本例文2 「本日は○○の通夜祭にお越しいただき、ありがとうございます。

○○は皆様に支えられ、充実した人生を送ることができました。今は神様のもとで、私どもを見守ってくださっていることと思います。

○○の御霊が安らかにお鎮まりいただけますよう、お祈りいたします。

明日の葬場祭もよろしくお願いいたします。本日は誠にありがとうございました。」

直会(なおらい)での挨拶

開始時の挨拶 「本日は貴重なお時間をいただき、最後まで○○にお付き合いいただき、誠にありがとうございます。

心ばかりのお食事をご用意させていただきました。○○の御霊とともに、皆様でお過ごしいただければと思います。

○○との思い出話など、ぜひお聞かせください。

それでは、○○の御霊に感謝して、献杯させていただきます。献杯。」

終了時の挨拶 「本日は長時間にわたり、○○のためにお時間をいただき、ありがとうございました。

皆様のお陰で、○○の御霊も安らかにお鎮まりいただけることと思います。

明日の葬場祭もよろしくお願いいたします。お気をつけてお帰りください。」

葬場祭での挨拶

出棺前の挨拶

基本例文1 「本日はお忙しい中、亡○(続柄)、○○(氏名)の葬場祭にご会葬いただき、誠にありがとうございました。

○○は生前、皆様に大変お世話になりました。皆様に温かくお見送りいただき、○○の御霊も安らかにお鎮まりいただけることと思います。

○○は神様のもとへ旅立ち、これからは私どもの守り神として見守ってくださることでしょう。

私どもも○○の教えを胸に、精進してまいります。今後ともご指導のほど、よろしくお願いいたします。

生前中のご厚誼に心より感謝申し上げます。本日は誠にありがとうございました。」

基本例文2 「本日は○○の葬場祭にお越しいただき、ありがとうございました。

○○は皆様に支えられ、幸せな人生を送ることができました。今は御霊となって、皆様への感謝の気持ちでいっぱいのことと思います。

○○の御霊が永遠に安らかにお鎮まりいただけますよう、お祈りいたします。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。本日は誠にありがとうございました。」

家族葬での挨拶

温かみのある挨拶 「本日は身内だけの小さな葬場祭でしたが、○○が生前特にお世話になった皆様にお越しいただき、ありがとうございます。

○○の御霊は家族に囲まれ、皆様に見守られながら、安らかにお鎮まりいただけることと思います。

○○は神様のもとで、私どもを見守ってくださることでしょう。

今後とも変わらぬお付き合いのほど、よろしくお願いいたします。本日は誠にありがとうございました。」

火葬祭での挨拶

火葬場での挨拶

基本例文 「本日は火葬祭まで最後までお付き合いいただき、誠にありがとうございました。

○○の御霊が清浄な火によって清められ、神様のもとへ旅立たれます。

皆様に温かく見守られ、○○の御霊も安らかにお鎮まりいただけることと思います。

本日は長時間にわたり、ありがとうございました。」

十日祭での挨拶

十日祭の挨拶

法要開始前 「本日はお忙しい中、亡○(続柄)、○○(氏名)の十日祭にお越しいただき、誠にありがとうございます。

○○が神様のもとへ旅立ってから、十日が過ぎました。皆様に温かく見守っていただき、○○の御霊も安らかにお鎮まりいただいていることと思います。

本日は神主様にお祭りいただき、○○の御霊にお参りしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。」

祭典後の食事で 「本日は十日祭にお越しいただき、ありがとうございました。

○○の御霊のために神主様にお祭りいただき、○○も喜んでいることと思います。

心ばかりのお食事をご用意いたしました。○○の御霊に感謝して、献杯させていただきます。献杯。」

五十日祭での挨拶

五十日祭の挨拶

祭典開始前 「本日はお忙しい中、亡○(続柄)、○○(氏名)の五十日祭にお越しいただき、誠にありがとうございます。

○○が神様のもとへ旅立ってから、早いもので五十日を迎えました。皆様に温かく見守っていただき、○○の御霊も完全に神様のもとにお鎮まりいただけることと思います。

本日は神主様にお祭りいただき、○○の御霊の安鎮をお祈りしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。」

合祀祭がある場合

合祀祭での挨拶 「本日は五十日祭に続き、合祀祭にもお付き合いいただき、ありがとうございます。

○○の御霊を先祖代々の御霊とともにお祀りし、永遠にお鎮まりいただく場所を得ることができました。

これで○○も先祖の神様とともに、私どもを見守ってくださることでしょう。今後ともお導きのほど、よろしくお願いいたします。」

年祭での挨拶

一年祭

祭典開始前 「本日はお忙しい中、亡○(続柄)、○○(氏名)の一年祭にお越しいただき、誠にありがとうございます。

○○が神様のもとへ旅立ってから、早いもので一年が過ぎました。この一年間、皆様には温かく見守っていただき、心より感謝申し上げます。

○○の御霊への思いを新たに、本日祭典を営ませていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。」

祭典後の食事で 「一年という歳月が過ぎましたが、皆様のおかげで私どもも少しずつ立ち直ることができました。

○○の御霊も神様のもとで安らかにお鎮まりいただいていることと思います。今後とも○○の御霊のお導きをお願いいたします。」

三年祭以降

祭典開始前 「本日はお忙しい中、○○の○年祭にお越しいただき、ありがとうございます。

○○の御霊を偲び、皆様とともにお参りさせていただけることを、心より感謝申し上げます。

本日もどうぞよろしくお願いいたします。」

故人の状況別挨拶例

若い方が亡くなった場合

短い人生への言及 「○○は短い人生でしたが、皆様に愛され、支えられて過ごすことができました。今は神様のもとで、私どもを見守ってくださっていることと思います。

こうして多くの方にお見送りいただき、○○の御霊も安らかにお鎮まりいただけることと思います。

私どもも○○の分まで精一杯生きてまいります。○○の御霊のお導きをお願いいたします。」

高齢の方が亡くなった場合

長い人生への感謝 「○○は○○歳の長い人生を、皆様に支えられて過ごすことができました。最後まで皆様に愛され、満足して神様のもとへ旅立つことができたと思います。

長い間のご厚誼に心より感謝申し上げます。○○の御霊も皆様への感謝の気持ちでいっぱいのことと思います。

私どもも○○のように、皆様に愛される人間になれるよう、精進してまいります。」

闘病生活があった場合

闘病への理解への感謝 「○○は長い間の闘病生活でしたが、皆様に温かく見守っていただきました。皆様のおかげで、最後まで希望を持って過ごすことができました。

○○の御霊も皆様への感謝の気持ちでいっぱいのことと思います。今は神様のもとで安らかにお鎮まりいただいていることでしょう。

長い間のご心配とお心遣いに、心より感謝申し上げます。」

神道挨拶での注意点

用語の使い分け

  • 御霊(みたま):故人の霊魂を指す神道の用語
  • 鎮魂(ちんこん):御霊を安らかに鎮めること
  • 神主様:神道の聖職者(僧侶ではない)

表現のポイント

  • 故人は神様になったという考え方
  • 見守ってくださるという表現
  • 清浄さを重視する表現

避けるべき表現

  • 仏教用語全般
  • 輪廻転生に関する表現
  • 極楽浄土に関する表現

まとめ

神道での挨拶は、故人が神様となって見守ってくださるという考えに基づいています。仏教とは異なる用語や表現を用いながら、故人への感謝と参列者への感謝の気持ちを伝えることが大切です。

「御霊安らかにお鎮まりください」という神道特有の表現を用いながら、心のこもった挨拶を心がけましょう。

関連記事

目次