供花・供物とは
供花(きょうか・くげ)・供物(くもつ)とは、故人への弔意を表し、霊前にお供えする花や品物のことです。
故人を偲び、遺族への哀悼の気持ちを込めて贈る大切な供養の形です。
※葬儀社によって取り扱う商品やデザインが異なりますので、事前に確認することが重要です。
供花の種類と用途
供花にはいくつかの形式があり、それぞれ用途や設置場所が異なります。
スタンド花
高さのあるスタンド式の花飾りで、式場の入口や祭壇周辺に設置されます。企業や団体、親族からの供花として選ばれることが多く、費用は1基10,000〜30,000円程度です。
花束
棺の上に1つのみであれば置くことができますが、複数あるとかさばるため式場での供花としては推奨できません。
費用は5,000〜15,000円程度です。
枕花(まくらばな)
故人が亡くなった直後に枕元に供える花のことで、通常は親族や特に親しい方が手配します。
ご遺体のそばで故人を見守る意味があり、病院や自宅で安置されている間に供えられます。
花輪(はなわ)
伝統的な円形の花飾りで、主に屋外や会場の外に設置されます。地域によっては現在でも使用されていますが、最近では減少傾向にあります。
供花に使用される花
供花には白を基調とした花が使用されることが一般的です。最もよく使われるのは菊で、カラーやユリ、胡蝶蘭なども人気があります。また、薄いピンクや紫色のトルコキキョウ、カーネーション、リンドウも美しい供花として選ばれています。紫やピンク色のスターチス、小さな菊の一種であるスプレーマムなども含め、多様な花を使用されなす。

供物について
供物の意味と種類
供物は故人への供養として、また現世との繋がりを表すものとして霊前にお供えします。宗派に応じた供養の意味も持っています。
食べ物系の供物としては、りんご、オレンジ、バナナなどの果物や、日持ちのする和菓子・洋菓子が選ばれます。また、果物や海産物の缶詰、海苔、昆布、干し椎茸などの乾物も適しています。
宗教用品では、仏式で最も一般的な線香や、仏壇用の白いろうそく、故人の好みに応じて抹茶や煎茶なども供物として選ばれます。
その他にも、故人の好物であったお酒やタバコ、地域によってはタオルや石鹸などの日用品が供物として用いられることもあります。
手配方法
供花・供物の手配方法は主に3つあります。それぞれにメリットと注意点があるため、状況に応じて選択することが大切です。
1. 葬儀社経由での手配
最も確実で一般的な方法が、葬儀社を通じた手配です。会場の雰囲気に合った花を選んでもらえ、確実に式場に届けてもらえる安心感があります。設置や撤去も含まれているため、全て任せることができます。ただし、葬儀社によって扱っている商品が異なるため、選択肢が限られる場合があります。
手順としては、まず葬儀社に連絡し、扱っている商品の中から種類や予算を相談します。その後、名札の表記を確認し、当日または後日に支払いを行います。
費用相場は以下の通りです。
- スタンド花:10,000〜30,000円
- 花束:5,000〜15,000円
- 供物:5,000〜15,000円
2. 花屋での直接手配
花屋での直接手配は、主に自宅葬の場合や後日のお供え、お墓参り用、仏壇用の花として適しています。葬儀式場での葬儀の場合は、式場指定業者のみの場合が多いため困難です。
花屋での手配では、予算に応じた調整が可能で、細かい要望にも対応してもらえます。また、実物を見て選べるという利点もあります。ただし、葬儀社によって取扱商品が異なることや、配達時間を確実に合わせる必要があることに注意が必要です。
手順は、まず配達先が自宅か式場かを明確にし、花屋に葬儀・法要用であることを伝えます。その後、予算と希望を相談してデザインを決定し、確実な配達を依頼します。
3. オンライン注文
オンライン注文の最大のメリットは、24時間いつでも注文できることです。急な訃報にも対応でき、複数業者の価格比較も容易で、多様なデザインから選択できます。
ただし、配達エリアの確認が必要で、実物を見ることができないため品質面での不安があります。また、当日配達ができるかどうかの緊急対応や、サイトによって扱う商品が異なることにも注意が必要です。
手配のタイミング
供花・供物の手配期限
- 手配期限:通夜当日の昼頃まで
- 推奨:できるだけ早い手配が望ましい
- 配達時間:通夜開始の2〜3時間前
手配が間に合わない場合
- 弔電と組み合わせ:お悔やみの気持ちを伝える
- 後日供花:四十九日法要時に手配
- 香典で対応:供花代として香典を増額
名札・表書きのマナー

個人の場合
フルネームで「○○ ○○」と記載し、敬称は付けません。縦書きで右から左に記載します。
夫婦の場合
連名で「○○ ○○・○○」とし、夫の名前を先に書きます。
会社・団体の場合
正式名称「株式会社○○」や代表者名「代表取締役 ○○ ○○」、部署名「○○部一同」などを記載します。
親族の場合
続柄を記載し、「孫一同」「兄弟一同」などと書きます。地域による違いもあるため慣習を確認しましょう。
表書きは黒または紺色で記載し、葬儀社の取り扱う商品や形式を事前に確認することが大切です。
関係性による費用相場
故人との関係によって、供花・供物の費用相場が異なります。
親族の場合
供花:10,000〜30,000円
供物:10,000〜20,000円
友人・知人の場合
供花:10,000〜20,000円
供物:5,000〜15,000円
職場関係の場合
供花:10,000〜25,000円
供物:8,000〜15,000円
近所・知人の場合
供花:10,000〜15,000円
供物:3,000〜10,000円
予算を考える際は、香典との合計で全体の弔意を表現することや、連名での手配で費用を分担して立派なものを贈ること、今後の関係性も考慮することが大切です。
よくある失敗と対処法
取扱商品の確認不足
葬儀社で扱っていない商品を希望してしまうことがあります。事前に葬儀社の取扱商品や会場、時間をしっかり確認しましょう。
配達が間に合わない
手配が遅すぎて間に合わないケースです。訃報を受けたらできるだけ早く手配することが大切です。
名札の間違い
漢字や会社名の誤記が起こることがあります。注文時に念入りにチェックしましょう。
予算オーバー
相場を知らずに注文して予算をオーバーしてしまうことがあります。最初に予算を明示して相談しましょう。
供花・供物を断られる場合
辞退される理由
家族葬で親族のみで執り行う場合、宗教的理由による宗派の教え、会場のスペース制約、遺族がシンプルに行いたいという意向などがあります。
対応方法
遺族の意向を尊重し、無理に贈らないことが大切です。気持ちを香典に込めたり、後日の四十九日や一周忌での供養、お手紙やお悔やみの言葉など別の形で弔意を表すことができます。
まとめ
供花・供物は故人への最後の贈り物として、また遺族への弔意の表現として重要な役割を果たします。適切な手配により、故人を偲び、遺族に寄り添う気持ちを形にすることができます。
手配の際は、故人の宗教・宗派、地域の慣習、遺族の意向を確認し、適切なタイミングで行うことが大切です。最も重要なのは、故人への敬意と遺族への思いやりの心です。
形式にとらわれすぎず、心からの弔意を込めて、故人にふさわしい供花・供物を選んでください。
※慣習や相場は地域によって大きく異なります。事前に地域の慣習や葬儀社に確認することをお勧めします。