キリスト教での挨拶

目次

キリスト教の葬儀について

キリスト教では、死は神様のもとに召されることであり、悲しみよりも神への感謝と故人の新しい生への希望を表現します。そのため、仏教や神道とは異なる用語や表現を用いて挨拶を行います。

キリスト教の葬儀は「召天記念式」「前夜式」「葬儀式」などと呼ばれ、プロテスタントとカトリックで若干の違いがあります。

キリスト教特有の用語と表現

避けるべき仏教用語

  • 使わない表現:「冥福」「供養」「成仏」「往生」「極楽」「ご愁傷様」
  • キリスト教の表現:「天に召された」「神の御許で」「永遠の安息」「お悔やみ申し上げます」

キリスト教でよく使う表現

  • 故人について:「天に召された」「神の御許に」「主のもとで」「永遠の生命を得た」
  • 安息の表現:「永遠の安息を得られ」「主の平安のうちに」「神様に委ねて」
  • 感謝の表現:「神様に感謝して」「主の恵みに感謝し」「神様の愛に包まれて」

プロテスタントとカトリックの違い

  • プロテスタント:「召天」「召天記念式」
  • カトリック:「帰天」「葬儀ミサ」
  • 共通:「天に召された」「神の御許で」

前夜式(通夜に相当)での挨拶

前夜式終了後の挨拶

基本例文1(プロテスタント) 「本日はお忙しい中、亡○(続柄)、○○(氏名)の前夜式にお越しいただき、誠にありがとうございます。

○○は生前、皆様に大変お世話になりました。○○が天に召され、神様の御許で永遠の安息を得られたことを、神様に感謝いたします。

こうして多くの方々にお集まりいただき、○○も主の平安のうちに喜んでいることと思います。

明日の召天記念式は午前○時より執り行います。お時間が許されましたら、最後のお見送りをしていただければと思います。

本日は誠にありがとうございました。」

基本例文2(カトリック) 「本日はお忙しい中、○○の前夜式にお越しいただき、ありがとうございます。

○○は皆様に支えられ、神様に愛された人生を送ることができました。今は神様の御許で永遠の安息を得て、私どもを見守ってくださっていることと思います。

○○が神様のもとで平安を得られたことを、主に感謝いたします。

明日の葬儀ミサもよろしくお願いいたします。本日は誠にありがとうございました。」

茶話会での挨拶

開始時の挨拶 「本日は貴重なお時間をいただき、最後まで○○にお付き合いいただき、誠にありがとうございます。

心ばかりのお食事をご用意させていただきました。○○が天に召されたことを神様に感謝しながら、皆様でお過ごしいただければと思います。

○○との思い出話など、ぜひお聞かせください。

それでは、○○が神様の御許で永遠の安息を得られたことを感謝して、乾杯させていただきます。」

終了時の挨拶 「本日は長時間にわたり、○○のためにお時間をいただき、ありがとうございました。

皆様のお陰で、○○も主の平安のうちに喜んでいることと思います。

明日の召天記念式もよろしくお願いいたします。お気をつけてお帰りください。」

葬儀式での挨拶

出棺前の挨拶

基本例文1(プロテスタント) 「本日はお忙しい中、亡○(続柄)、○○(氏名)の召天記念式にご会葬いただき、誠にありがとうございました。

○○は生前、皆様に大変お世話になりました。皆様に温かくお見送りいただき、○○も神様の御許で喜んでいることと思います。

○○が天に召され、永遠の生命を得たことを神様に感謝いたします。○○は今、主のもとで私どもを見守ってくださっていることでしょう。

私どもも○○の信仰を受け継ぎ、神様に感謝しながら歩んでまいります。今後ともご指導のほど、よろしくお願いいたします。

生前中のご厚誼に心より感謝申し上げます。本日は誠にありがとうございました。」

基本例文2(カトリック) 「本日はお忙しい中、○○の葬儀ミサにお越しいただき、ありがとうございました。

○○は皆様に支えられ、神様に愛された人生を送ることができました。今は神様の御許で永遠の安息を得て、私どもへの愛を注いでくださっていることと思います。

○○が神様のもとに帰天したことを、主に感謝いたします。

私どもも○○の愛を胸に、神様の道を歩んでまいります。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

本日は誠にありがとうございました。」

簡潔例文 「本日は○○の召天記念式にお越しいただき、ありがとうございました。

○○は皆様に支えられ、神様に愛された人生を送ることができました。今は主の御許で永遠の平安を得ています。

○○が天に召されたことを神様に感謝いたします。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

本日は誠にありがとうございました。」

家族葬での挨拶

温かみのある挨拶 「本日は身内だけの小さな召天記念式でしたが、○○が生前特にお世話になった皆様にお越しいただき、ありがとうございます。

○○は家族に囲まれ、皆様に見守られながら、神様の御許へ旅立つことができました。○○が天に召されたことを、神様に感謝いたします。

○○らしい温かい雰囲気の中でお見送りすることができ、私どもも安心しております。

今後とも変わらぬお付き合いのほど、よろしくお願いいたします。本日は誠にありがとうございました。」

記念会・茶話会での挨拶

記念会開始時の挨拶

基本例文 「本日は最後まで亡○(続柄)、○○(氏名)にお付き合いいただき、誠にありがとうございました。

おかげさまで、滞りなく召天記念式を終えることができました。○○も神様の御許で皆様への感謝の気持ちでいっぱいのことと思います。

心ばかりのお食事をご用意させていただきました。○○が神様の御許で永遠の安息を得られたことを感謝しながら、皆様でお過ごしいただければと思います。

○○との思い出話など、ぜひお聞かせください。

それでは、○○を偲んで乾杯させていただきます。」

記念会終了時の挨拶

基本例文 「本日は長時間にわたり、○○のためにお時間をいただき、誠にありがとうございました。

皆様のお心遣いと温かいお言葉に、心より感謝しております。○○がいかに多くの方に愛されていたかを、改めて実感いたします。

○○が天に召され、神様の御許で永遠の平安を得られたことを、主に感謝いたします。

今後とも変わらぬお付き合いのほど、よろしくお願いいたします。お疲れのところ恐縮ですが、お気をつけてお帰りください。」

記念式(年忌に相当)での挨拶

一年後の記念式

記念式開始前 「本日はお忙しい中、亡○(続柄)、○○(氏名)の記念式にお越しいただき、誠にありがとうございます。

○○が天に召されてから、早いもので一年が過ぎました。この一年間、皆様には温かく見守っていただき、心より感謝申し上げます。

○○への思いを新たに、本日記念式を営ませていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。」

記念式後の食事で 「一年という歳月が過ぎましたが、皆様のおかげで私どもも神様の愛に支えられて歩んでまいりました。

○○も神様の御許で私どもを見守ってくださっていることと思います。今後とも神様の導きをお祈りください。」

故人の状況別挨拶例

若い方が亡くなった場合

短い人生への言及 「○○は短い人生でしたが、皆様に愛され、神様に愛されて過ごすことができました。今は神様の御許で永遠の生命を得て、私どもを見守ってくださっていることと思います。

こうして多くの方にお見送りいただき、○○も主の平安のうちに喜んでいることと思います。

○○が天に召されたことを神様に感謝し、私どもも○○の分まで神様の愛を伝えてまいります。」

高齢の方が亡くなった場合

長い人生への感謝 「○○は○○歳の長い人生を、皆様に支えられ、神様に愛されて過ごすことができました。最後まで皆様に愛され、信仰を持って神様の御許へ旅立つことができたと思います。

長い間のご厚誼に心より感謝申し上げます。○○も神様の御許で皆様への感謝の気持ちでいっぱいのことと思います。

私どもも○○のように、神様の愛に満たされた人生を歩んでまいります。」

闘病生活があった場合

闘病への理解への感謝 「○○は長い間の闘病生活でしたが、皆様に温かく見守っていただきました。皆様のお祈りとお心遣いが、○○にとって大きな支えとなりました。

○○は最後まで神様への信仰を失わず、主の平安のうちに天に召されました。今は神様の御許で永遠の安息を得ていることでしょう。

長い間のお祈りとお心遣いに、心より感謝申し上げます。」

信仰深い方の場合

信仰への言及 「○○は生涯にわたって深い信仰を持ち、神様の愛を多くの人に伝える人でした。教会の皆様、信仰の仲間の皆様と共に、神様への奉仕に生涯を捧げました。

○○の信仰の証しは、私どもにとって大きな励みとなります。今は神様の御許で『よくやった、忠実な僕よ』との言葉をいただいていることでしょう。

○○の信仰を受け継ぎ、私どもも神様の愛を伝えてまいります。」

キリスト教挨拶での注意点

用語の使い分け

  • 召天・帰天:天に召されること
  • 永遠の生命・永遠の安息:キリスト教の死生観
  • 主・神様:神への呼びかけ

表現のポイント

  • 死を悲しみではなく、神への感謝として表現
  • 希望と慰めを込めた言葉遣い
  • 故人の新しい生への言及

避けるべき表現

  • 仏教・神道用語全般
  • 輪廻転生に関する表現
  • 先祖崇拝に関する表現

プロテスタントとカトリックの配慮

  • 用語の違いに注意(召天/帰天、記念式/ミサ)
  • どちらでも使える表現を基本とする
  • 必要に応じて宗派を確認

まとめ

キリスト教での挨拶は、故人が神様の御許で永遠の安息を得たことへの感謝と、参列者への感謝の気持ちを表現することが大切です。死を悲しみとしてではなく、神様への感謝として捉える、キリスト教特有の死生観を反映した挨拶を心がけましょう。

「天に召された」「神の御許で」という表現を用いながら、希望に満ちた温かい挨拶をすることが重要です。

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