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喪主とは
喪主(もしゅ)とは、葬儀を主催し、遺族を代表して弔問を受ける立場の人です。
葬儀全体の責任者として、参列者への対応や挨拶、葬儀社との打ち合わせなど、葬儀に関わる全ての事柄について最終的な決定権を持ちます。
通常は故人の配偶者、長男・長女、または故人と最も関係の深い人が務めます。
喪主の選び方

一般的な順序
- 配偶者(夫または妻)
- 長男・長女
- 次男以降の子供
- 故人の両親
- 故人の兄弟姉妹
選ぶ際の考慮点
- 故人との関係の深さ:血縁関係だけでなく、実際に故人と親しく過ごした時間や精神的な結びつきも重要です
- 年齢や健康状態:葬儀は体力的・精神的に負担が大きいため、健康状態を考慮する必要があります
- 社会的立場や経済状況:葬儀費用の負担能力や、仕事の調整がつくかどうかも判断材料になります
- 地域の慣習:地域によっては長男が必ず喪主を務めるなど、特有の慣習がある場合があります
- 本人の意志:故人が生前に喪主について希望を述べていた場合は、それを尊重することが大切です
喪主の主な役割
1. 葬儀の企画・準備
- 葬儀社の選定と打ち合わせ:複数の葬儀社から見積もりを取り、サービス内容と費用を比較検討します。担当者との相性も重要な要素です
- 葬儀の規模・形式の決定:故人の遺志や家族の希望、予算を考慮して、一般葬・家族葬・一日葬・直葬などから選択します
- 日程・会場の調整:火葬場の空き状況、親族の都合、宗教者のスケジュールなどを総合的に判断して決定します
- 予算の管理:葬儀費用全体の把握と、各項目の優先順位を決めて予算配分を行います
2. 関係者への連絡
- 親族・友人・知人への訃報連絡:故人と親しかった人々に電話やメールで連絡します。連絡の優先順位を決めて、段階的に知らせることが大切です
- 故人の職場や関係団体への連絡:勤務先、趣味のサークル、ボランティア団体など、故人が関わっていた組織への連絡も重要です
- 菩提寺や宗教者への連絡:お寺の住職、神社の宮司、教会の牧師など、葬儀を執り行う宗教者との日程調整を行います
3. 各種手続き
- 死亡届の提出:医師の死亡診断書を添えて、死亡から7日以内に市区町村役場に提出します(葬儀社が代行する場合もあるので確認が必要です)
- 火葬許可証の取得:死亡届提出と同時に火葬許可申請を行い、火葬許可証を取得します(葬儀社が代行する場合もあるので確認が必要です)
- 葬儀に必要な書類の準備:印鑑登録証明書、戸籍謄本、各種保険証など、後の手続きに必要な書類を準備します
4. 当日の責任
- 弔問客の対応:参列者一人ひとりに丁寧に挨拶し、感謝の気持ちを伝えます
- 挨拶の実施:通夜、葬儀式、精進落としなど、各場面で適切な挨拶を行います
- 進行の確認:葬儀の流れを把握し、予定通りに進行しているか確認します
- 最終的な判断:予期せぬ事態が発生した場合の対応や、急な変更が必要な場合の決定を行います(ただし、喪主に遂行能力がない場合は、他の親族代表が代わりに役割を請け負うこともあります)
喪主の責任
金銭的責任
- 葬儀費用の支払い:葬儀社への支払い、会場費、料理代、返礼品代など、葬儀に関わる全ての費用を負担します
- 香典の管理:受け取った香典の管理と記録を行い、後日の香典返しの準備につなげます
- お布施の支払い:僧侶へのお布施など、宗教者への謝礼を適切に支払います
法的責任
- 各種手続きの完了:死亡に関する公的手続きを期限内に完了させる責任があります
- 契約内容の確認:葬儀社との契約内容を理解し、トラブルがないよう確認します
- 相続に関する初期対応:相続手続きの開始準備や、相続人への連絡など、相続に関する初期対応を行います
社会的責任
- 故人の意志の尊重:故人が生前に表明していた葬儀に関する希望を可能な限り実現します
- 参列者への配慮:年配の方や遠方から来られた方への配慮、適切な席の案内などを行います
- 地域の慣習への対応:地域の伝統や慣習を理解し、それに配慮した葬儀を執り行います
喪主が行う主な挨拶

通夜での挨拶
- 通夜法要終了後の挨拶:通夜の読経が終わった後、参列者への感謝を述べます
- 通夜振る舞いの際の挨拶:通夜の後の食事の席で、参列者への感謝を述べ、故人の思い出を語ります。簡潔で心のこもった挨拶を心がけます
葬儀式での挨拶
- 出棺前の最後の挨拶:故人との最後の別れの場面で、参列者への感謝と故人への思いを込めた挨拶を行います
精進落としでの挨拶
- 開始時の挨拶:食事会の開始にあたり、参列者への感謝と故人を偲ぶ時間であることを伝えます
- 締めの挨拶:食事会の終了時に、改めて感謝を述べ、今後ともよろしくお願いする旨を伝えます
喪主の心構え
精神的な準備
大切な人を亡くしたばかりの精神状態では、以下のことを完璧に行うのは難しいものです。
無理をせず、周囲のサポートを受けながら対応することが大切です。
- 冷静な判断力を保つ:悲しみの中でも多くの決断を迫られますが、感情に流されすぎないよう努めます。ただし、完璧である必要はありません
- 感情的にならず客観的に対応:親族間で意見が分かれた場合でも、故人のためを思って対応します。感情的になってしまうのは自然なことです
- 周囲のサポートを受け入れる:一人で全てを抱え込まず、家族や親族、友人のサポートを積極的に受け入れます。頼ることは恥ずかしいことではありません
体調管理
悲しみの中では体調管理も困難になりがちですが、可能な範囲で以下のことを心がけてください。
- 適度な休息を取る:葬儀準備は体力的に負担が大きいため、無理をせず休める時は休息を取ります
- 栄養のある食事を心がける:ストレスで食欲が落ちがちですが、可能な範囲で体力維持のため食事を取ります
- 必要に応じて医師に相談:体調不良や精神的な負担が大きい場合は、遠慮なく医師に相談します
喪主をサポートする人々
世話役(葬儀委員長)
近年は家族葬や小規模な葬儀が主流となっているため、葬儀委員長を立てることはほとんどありません。
大規模な葬儀の場合のみ設置されることがあります。
- 実務的な作業の分担:受付係、案内係、会計係などの役割分担を行い、喪主の負担を軽減します
- 喪主の負担軽減:喪主が挨拶や重要な判断に集中できるよう、細かな実務を代行します
親族代表
- 親族間の調整:親族の中で意見が分かれた場合の調整役を務めます
- 意見のまとめ役:多くの親族の意見をまとめ、喪主に報告・提案します
葬儀社担当者
- 専門的なアドバイス:葬儀の進行や慣習について、専門的な知識に基づいたアドバイスを提供します
- 手続きのサポート:複雑な手続きについてガイダンスし、必要に応じて代行します
喪主が注意すべきポイント
事前の準備
- 故人の遺志を確認しておく:生前に故人が葬儀について何か希望を述べていたか、家族で話し合っておきます
- 連絡先リストを整理しておく:故人の交友関係を把握し、連絡先を整理しておくことで、スムーズな連絡が可能になります
- 重要書類の保管場所を把握:印鑑、通帳、保険証書、年金手帳などの重要書類がどこにあるか確認しておきます
当日の対応
- 時間に余裕を持って行動:予期せぬ事態に対応できるよう、スケジュールに余裕を持たせます
- 重要な決定は周囲と相談:一人で判断せず、家族や親族、葬儀社担当者と相談してから決定します
- 参列者一人ひとりに丁寧に対応:忙しい中でも、参列者への感謝の気持ちを忘れず、丁寧な対応を心がけます
事後の対応
- お礼状の発送:葬儀から一週間以内を目安に、参列者や弔電・供花をいただいた方にお礼状を発送します
- 香典返しの手配:いただいた香典の金額に応じて、適切な香典返しを手配します
- 各種手続きの完了確認:年金停止、銀行口座の手続き、各種保険の手続きなど、必要な手続きが完了しているか確認します
まとめ
喪主は大きな責任を伴う役割ですが、一人で全てを背負う必要はありません。
家族や親族、葬儀社のサポートを受けながら、故人を偲び、参列者に感謝の気持ちを伝えることが最も大切です。
事前の準備と当日の心構えを整えることで、故人にふさわしい葬儀を執り行うことができるでしょう。