訃報を受けて供花を贈ろうと考えたとき、「供花は辞退させていただきます」という一文を見つけることがあります。
せっかく弔意を表したいと思っていたのに、どう対応すれば良いのか戸惑ってしまう方も多いでしょう。
この記事では、供花を辞退された場合の正しい対応方法と、それでも気持ちを伝えたいときの適切な方法について解説します。
供花辞退の意味と背景
供花の辞退は、決してあなたの厚意を拒否しているわけではありません。 遺族側にはさまざまな事情があり、その判断を尊重することが大切です。
供花を辞退される理由としては、家族葬で小規模に執り行いたい、費用を抑えたい、お返しの負担を減らしたい、シンプルな葬儀を希望している、などが挙げられます。
特に最近は、コロナ禍以降に家族葬が増加し、それに伴って供花や香典を辞退するケースも多くなっています。
滋賀県内でも、家族葬を選ばれるご家族が年々増えています。
「故人らしく、身内だけで静かに送りたい」という想いから、供花や香典を辞退されるケースが増加傾向にあります。
これは決して非礼ではなく、現代の葬儀の一つの形です。
辞退の意向は必ず尊重する
供花を辞退されている場合、その意向は必ず尊重しましょう。
「せっかくだから」「気持ちだから」と無理に贈ることは、かえって遺族の負担になってしまいます。
遺族が供花を辞退する判断をするまでには、様々な考慮と決断があったはずです。
その想いを尊重することこそが、本当の弔意の表し方といえます。
辞退されているのに強引に贈ってしまうと、遺族は受け取りを断るか、受け取ってもお返しを考えなければならず、大きな負担となります。
善意のつもりが、かえって迷惑をかけてしまうことになるのです。
香典も辞退されている場合の対応
供花と香典の両方を辞退されているケースもあります。 この場合も、基本的には遺族の意向に従うのがマナーです。
「香典・供花・供物辞退」と明記されている場合は、何も持参せずに参列します。 手ぶらで行くことに抵抗を感じるかもしれませんが、それが遺族の望む形なのです。
「何も持たずに参列するのは失礼では?」と心配される方がいますが、辞退の意向が示されている場合、手ぶらでの参列が正しいマナーです。 遺族は参列してくださること自体を感謝しています。
それでも気持ちを伝えたい場合

供花を辞退されていても、何か形で弔意を表したいと思うのは自然な気持ちです。 そんなときは、以下の方法を検討してみてください。
弔電を送る
弔電は供花や香典とは異なり、お返しの必要がない弔意の表し方です。 場所を取らず、遺族への負担も少ないため、辞退されている場合でも受け入れられやすい方法です。
ただし、弔電も辞退されている場合は送らないようにしましょう。 訃報の連絡に「弔問・供花・香典・弔電すべて辞退」と明記されていれば、その指示に従います。
後日、お悔やみの手紙を送る
葬儀が終わって落ち着いた頃に、お悔やみの手紙を送るのも良い方法です。 故人との思い出や、遺族を気遣う言葉を綴ることで、心からの弔意を伝えることができます。
手紙は遺族が自分のペースで読むことができ、プレッシャーも少ない方法です。 四十九日を過ぎた頃に送ると、ちょうど良いタイミングといえます。
お悔やみの手紙は縦書きが基本です。
便箋は白無地か淡い色のものを選びましょう。
「拝啓」などの頭語は不要で、いきなり本文から始めます。
故人との思い出を具体的に書くと、遺族の心に届きやすくなります。
直接お悔やみを伝える
親しい関係であれば、葬儀後に改めて弔問に伺うこともできます。 ただし、必ず事前に連絡を入れ、都合を確認してから訪問しましょう。
弔問の際も、供物などは持参せず、言葉で弔意を伝えることに徹します。 短時間で切り上げ、遺族の負担にならないよう配慮が必要です。
職場関係での対応
会社として供花を検討していた場合、辞退されていればそれに従います。 ただし、社内での対応は別途検討が必要です。
社内での弔意の表し方
職場内で故人を偲ぶ時間を設ける、社内報で訃報を共有する、部署内で黙祷を捧げるなど、外部に向けた供花ではなく、内部での追悼の形を考えましょう。
遺族の職場復帰時には、温かく迎え入れることが何よりの支援になります。 必要以上に気を遣わせず、でも必要なときにはサポートできる体制を整えておきましょう。
社員が忌引き明けで出社したとき、「何か困ったことがあれば言ってください」という一言が心の支えになります。
仕事の調整や休暇の取得など、柔軟に対応できる環境を整えることが、職場としての弔意の表し方です。
親族として辞退された場合

親族の立場で供花を辞退されると、特に複雑な思いを抱くかもしれません。 しかし、この場合も基本的には喪主の意向を尊重することが大切です。
事前に相談する
どうしても供花を出したい理由がある場合は、葬儀前に喪主に直接相談してみましょう。 「全体的には辞退しているが、親族だけは例外」というケースもあります。
ただし、相談の結果として辞退の意向が変わらなければ、その判断を受け入れる覚悟も必要です。 押し付けることなく、相手の立場を理解する姿勢が求められます。
葬儀後のサポートを考える
供花を出せない代わりに、葬儀後の実務的なサポートを申し出ることもできます。 手続きの手伝い、子供の世話、家事の支援など、具体的な形で力になることを検討しましょう。
物品ではなく、時間や労力を提供することも、大切な弔意の表し方です。
葬儀が終わった後の方が、実は大変なことが多いものです。
役所手続きの同行、遺品整理の手伝い、話し相手になるなど、継続的なサポートが遺族の助けになります。
供花よりも、こうした実質的な支援の方が感謝されることも多いのです。
地域による違いと確認方法
供花の辞退については、地域によって考え方が異なることがあります。 滋賀県内でも、都市部と郊外では温度差があるかもしれません。
不明な場合の確認先
辞退の記載がない場合でも、不安であれば確認することができます。 訃報を知らせてくれた方、葬儀を担当する葬儀社、喪主や親族に直接連絡するなど、適切なルートで確認しましょう。
「供花をお送りしたいのですが、ご辞退されていますでしょうか」と丁寧に尋ねれば、失礼にはなりません。 確認することで、双方にとって最良の形を取ることができます。
葬儀社に電話で確認する場合:「○○様のご葬儀についてお伺いしたいのですが、供花は受け付けていらっしゃいますか?」と尋ねれば、適切に案内してもらえます。
遠慮せずに確認することが、お互いのためになります。
まとめ
供花を辞退されている場合、その意向を尊重することが最も大切なマナーです。 「何か贈りたい」という気持ちは理解できますが、遺族の判断を優先しましょう。
弔意を表す方法は供花だけではありません。 弔電、お悔やみの手紙、葬儀後の支援など、様々な形で気持ちを伝えることができます。
大切なのは形式ではなく、遺族の立場に立って考え、負担をかけない配慮をすることです。
相手の想いを尊重する姿勢こそが、本当の弔意の表し方といえるでしょう。
滋賀葬祭では、ご遺族様の想いを大切にしながら、お一人おひとりに寄り添った葬儀をお手伝いしております。 供花の手配や辞退に関するご相談、葬儀マナーについてのご質問など、どんな小さなことでもお気軽にお問い合わせください。

