数珠の使い方
目次
数珠とは
数珠は仏教において重要な法具の一つで、念仏を唱える際に使用する珠を連ねた道具です。葬儀や法事では、故人への供養の気持ちを込めて数珠を持参するのが一般的なマナーとされています。
数珠を正しく使うことで、故人への敬意を表し、心を落ち着けて祈りを捧げることができます。
数珠の種類
本式数珠(正式数珠)
特徴
- 108個の珠で構成(煩悩の数)
- 宗派ごとに形が異なる
- より丁寧な供養を表現
- 価格は高め
使用場面
- 重要な法事・葬儀
- 自分の宗派の儀式
- より正式な場
略式数珠(普通数珠)
特徴
- 珠の数は様々(通常20〜30個程度)
- 宗派を問わず使用可能
- 扱いやすい
- 価格は手頃
使用場面
- 一般的な葬儀
- 他宗派の葬儀
- 日常的な使用
男性用・女性用の違い
男性用数珠
- 珠が大きい(直径12mm程度)
- 色は黒・茶・グレーなどが一般的
- 房は太め
女性用数珠
- 珠が小さい(直径8mm程度)
- 色は白・ピンク・紫など様々
- 房は細め
- 装飾的なデザインも多い
数珠の基本的な持ち方
平常時の持ち方
左手に持つ
- 左手首にかけるのが基本
- 房を下向きにする
- 珠が床に触れないよう注意
- 親指で軽く押さえる
合掌時の持ち方
両手にかける方法
- 両手を合わせる
- 数珠を両手首にかける
- 房を下向きにする
- 親指で軽く押さえる
片手で持つ方法
- 左手で数珠を持つ
- 右手を上に重ねて合掌
- 数珠は左手首にかけたまま
焼香時の数珠の使い方
焼香の手順と数珠
- 数珠を左手にかけたまま歩く
- 遺影に一礼(数珠をかけたまま)
- 焼香台の前で合掌(数珠を両手にかける)
- 焼香を行う(数珠は左手にかけたまま)
- 再び合掌(数珠を両手にかける)
- 遺影に一礼して戻る(数珠を左手にかけたまま)
焼香時の注意点
基本的なマナー
- 数珠は常に左手に持つ
- 焼香の動作中も外さない
- 珠を床に落とさないよう注意
- 静かに扱う(音を立てない)
宗派別の数珠の違い
浄土宗
特徴
- 二重の輪(二連数珠)
- 房は平たい形
- 珠の数は108個
浄土真宗
本願寺派(西)
- 蓮如結びの房
- 下がりがある
大谷派(東)
- 切房(房が切りっぱなし)
- 下がりがある
日蓮宗
特徴
- 房が長い
- 特徴的な形状
真言宗
特徴
- 主珠・親珠・四天珠が明確
- 梵天房
曹洞宗・臨済宗
特徴
- シンプルな形
- 一重の輪
宗派がわからない場合
略式数珠を使用
- どの宗派でも使える
- 一重の輪で珠数は自由
- 迷った時の安全な選択
数珠がない場合の対応
基本的な考え方
数珠がなくても問題なし
- 数珠は必須ではない
- 心を込めて合掌することが大切
- 借りる必要もない
代替手段
素手での合掌
- 丁寧に手を合わせる
- 心を込めて祈る
- 数珠がないことを気にしない
購入を検討する場合
- 略式数珠が無難
- コンビニや100円ショップでも購入可能
- 急ぎの場合は会場近くの仏具店
子供の数珠
子供に数珠は必要?
基本的な考え方
- 必須ではない
- 大人の真似をしたがる場合は用意
- 落としたり遊んだりしないよう注意
子供用数珠の特徴
サイズと材質
- 小さめのサイズ
- 軽い素材
- 壊れにくいもの
- シンプルなデザイン
非仏教徒の数珠使用
キリスト教徒の場合
基本的な考え方
- 数珠を使わなくても良い
- 十字架やロザリオは避ける
- 素手で合掌または静かに立つ
他宗教・無宗教の場合
参列時のマナー
- 数珠の使用は任意
- その場の雰囲気に合わせる
- 心を込めて故人を偲ぶことが大切
数珠の選び方
初めて購入する場合
おすすめの選択
- 略式数珠を選ぶ
- 男性:黒・茶色系
- 女性:白・淡い色系
- 価格は3,000円〜10,000円程度
購入場所
購入できる場所
- 仏具店:品揃え豊富、専門的なアドバイス
- 百貨店:信頼できる品質
- インターネット:価格比較しやすい
- コンビニ:緊急時の簡易的なもの
選ぶ際のポイント
実用性重視
- 手首のサイズに合う
- 扱いやすい重さ
- 房がほつれにくい
- 珠がしっかり固定されている
数珠の手入れ・保管
日常の手入れ
基本的なケア
- 使用後は柔らかい布で拭く
- 直射日光を避けて保管
- 湿気の少ない場所に保管
- 専用の袋や箱に入れる
房の手入れ
房のケア
- 優しくほぐす
- 引っ張らない
- ブラシで軽く整える
修理が必要な場合
修理のタイミング
- 糸が切れた時
- 房がひどく乱れた時
- 珠に傷が入った時
修理先
- 購入した仏具店
- 地域の仏具店
- 修理専門店
数珠使用時のマナー
持参時のマナー
携帯方法
- 数珠袋に入れる
- ハンドバッグやポケットに
- 忘れた場合は慌てない
使用中のマナー
基本的な注意点
- 音を立てない
- 他人に貸さない・借りない
- 床に置かない
- 丁寧に扱う
貸し借りについて
なぜ貸し借りしないのか
- 個人の信仰に関わるもの
- 衛生面での配慮
- 宗派の違いによる問題
よくある質問
Q: 数珠を忘れた場合はどうすればいい?
A:
- そのまま参列して問題なし
- 心を込めて合掌する
- コンビニで購入する必要はない
Q: 他宗派の葬儀に自分の宗派の数珠を持参していい?
A:
- 略式数珠なら問題なし
- 本式数珠は避けた方が無難
- 迷った場合は略式数珠を使用
Q: 数珠が切れてしまった場合は?
A:
- 縁起が悪いわけではない
- 丁寧に片付けて持ち帰る
- 修理するか新しいものを購入
Q: 左利きの人はどちらの手に持つ?
A:
- 基本的には左手
- 利き手に関係なく左手が原則
- 扱いにくい場合は右手でも可
Q: 数珠をアクセサリー代わりに身につけていい?
A:
- 仏具なので普段使いは避ける
- 葬儀・法事の時のみ使用
- ファッション目的での使用は不適切
まとめ
数珠は仏教の重要な法具ですが、使い方を間違えても失礼にあたることはありません。最も大切なのは、故人を偲ぶ心と遺族への思いやりです。
数珠を持参する場合は、正しい持ち方と基本的なマナーを守って使用しましょう。数珠がない場合でも、心を込めて合掌すれば十分に故人への敬意を表すことができます。
形式よりも心を大切にし、温かい気持ちで葬儀に参列することが何よりも重要です。
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